
- Web制作
- 2025.01.20
「源泉徴収って何?フリーランスになると支払う必要があるの?」
「源泉徴収が引かれる場合、税率はどうなるの?」
会社に勤めているとほとんど気にならなかったであろう源泉徴収。フリーランスになった途端、クライアントから「源泉徴収もお願いします」と言われて、みなさんも「はて、源泉徴収って一体何なの?」とちんぷんかんになってしまったかもしれません。
そこで今回は、フリーランスにおける源泉徴収に関する基礎知識や税率の計算方法、注意点について解説します。
この記事を読めば、クライアントから「源泉徴収」の支払いを言い渡されたとしても、直前であたふたしてしまう心配もなくなるでしょう。ぜひ参考にしてみてください!
源泉徴収とは、給与(報酬)を支払う側が、労働者へ支払う給与(報酬)から納めるべき税金を予め差し引いて国へ税金を納める制度のこと。
簡単に言うと、源泉徴収は「税金を前払い」する制度です。実際、課税対象者の全員が確定申告を行うとなると、必ず税務署が混雑してしまったり、申告を忘れてしまったりする人が一定数出てくるでしょう。
そういった納税の問題点を解決するために、源泉徴収という制度が整備されたのです。
では、なぜ源泉徴収を納める必要があるのでしょうか?源泉徴収が毎月の従業員の報酬から差し引かれることで「労働者・国・企業」の全てにメリットが生まれます。
「源泉徴収」と聞くと面倒に感じてしまいますが、実は大きなメリットがある制度なのです。
筆者も最初にフリーランスとして独立した時は「え、源泉徴収って税金を先に払わないといけないのか…。」と少し不安に思っていましたが、あとで納税を忘れることなく確実に適性な金額を納められるので、精神的な安心感を得られたりもしました。
フリーランスは翌年の3月までに確定申告をして、原則支払うべき税額を一括で支払うのですが、後になって「ヤバイ…支払うべき税金を先に使っちゃったから納めれない…。」といったミスを犯してしまう人も少なくありません。
なので「税金を先に納める」ことのメリットは大きいのです。
源泉徴収を税務署へ納めるのは、基本的に報酬(給与)を支払う企業側です。事業を行う会社の全てが源泉徴収を行う義務を背負います。
企業で働く会社員の場合は、本人に代わり企業が源泉徴収を行ってくれますよね。
みなさんも会社で勤めていた時に受け取った給与は、自分で税額を計算して確定申告をするのではなく、経理にお願いして手続きをしてもらっていたはず。
このように、フリーランスがクライアント企業へ源泉徴収税を納め、そのクライアント企業が税務署へ税金を納める、といった流れです。
しかし、フリーランスの場合は源泉徴収されるものとされないものがあるため注意が必要です。
源泉徴収はフリーランスの全ての仕事に適用されるわけではありません。特定の仕事の報酬に対しての支払いで源泉徴収が必要になると定められています。(所得税法204条)
自分で確定申告をするフリーランスは、ここをしっかり把握できていなければ確定申告時に間違った申告をしてしまう可能性があります。次に「源泉徴収の対象となる仕事と源泉徴収の対象とならない仕事」を解説するので、自分の仕事が対象となるのかをしっかりと把握しておきましょう。
主に以下の8種に該当するフリーランスが報酬を受け取る際に源泉徴収の対象となります。
参照:国税庁>減収徴収制度(所法204、320、措法41の20)
1のデザイン料については、Webデザイン・住環境や庭のデザイン・広告デザイン・パッケージデザインなど幅広くをいいますが、Webサイト制作は含みません。
Webサイト制作には源泉徴収がなく、コーディングやプログラミングは対象外となります。他にもデザイン料の定義は事細かに決められてますが、クライアントが定めるもにによって異なる場合があります。
詳しくは、最寄りの税務署に問い合わせしてみましょう。税務署の相談センターなどで詳しく回答してもらえるはずです。自分の仕事が対象になるか分からない場合は、必ず確認しておいてくださいね。
次にフリーランスで源泉徴収の対象とならない仕事ですが、国税庁の公式サイトに記載のある「所得税法204条2項で定められたもの」の定義は非常に幅広く捉えられています。
なので源泉徴収の対象にならない仕事については、報酬を支払うクライアントによって解釈の相違が見られます。以下は、定められた所得税法の中でも良く紹介されている一例です。
源泉徴収の対象になるかどうかは、自分が仕事を受けているクライアントに確認を取るようにしましょう。
フリーランスが請求書を発行する際に「源泉徴収の対象となる仕事」を請けたのであれば、源泉徴収について記入する必要があります。
しかし、請求先の取引相手が以下のいずれか1つがあてはまるような場合は、税法上「源泉徴収義務者」とならないため、源泉徴収記載の必要がなくなります。
クライアント側の状況について自分で判断できるものではないために、請求書発行時に確認をしましょう。
では、フリーランスの報酬に対する源泉徴収の計算方法ですが、それは報酬の支払額が100万円以下の場合と100万円以上の場合でそれぞれ変わってきます。
「報酬額が100万円以下」の場合は、次の計算式を用いて導き出します。
報酬額=支払金額×10.21%
100万円以下の場合、源泉徴収税額の10%は所得税で、0.21%は復興特別所得税です。
「報酬額が100万円以上」の場合は、次の計算式を用いて導き出します。
報酬額=(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円
100万円以上の際の源泉徴収税額は、20%が所得税で、0.42%が復興特別所得税です。
フリーランスが源泉徴収税を払う際は「二重払い」に注意が必要です。会社員とは違い、フリーランスの場合は年度末に確定申告で所得税を納めます。
ただ、毎月の請求書にて源泉徴収が発生している場合、フリーランスは毎月都度税金を支払います。確定申告でそれを理解しないまま源泉徴収を納めた場合、税金の二重払いとなってしまいます。
予め支払った源泉徴収税は、確定申告時に申請して返してもらうようにしなければなりません。筆者もフリーランス4年目ですが、毎年先に支払っていた源泉徴収税を確定申告時に申請して、いくらか還付してもらっていました。
なので確定申告時には、源泉徴収額も踏まえた正しい税額を計算するようにしてくださいね。なお、不安な方は会計ソフトを使ってみると良いでしょう。
確定申告で源泉徴収税の過剰支払いに後で気が付いた人は、税金の返還請求ができます。これを「更正の請求」と言いますが、更正の請求は源泉徴収税だけに適用するものではなく、
といったように、申告した税額が本来よりも多い場合、もしくは還付される税額の申告が本来よりも少ない場合に使える制度です。
必ずしも請求が審査に通るとは限りませんが、確定申告漏れにより大きな損失がある場合はぜひ活用して欲しい制度です。なお、「更生の請求手続き」は原則5年間と定められていますので、その期間に注意してくださいね!
以上、源泉徴収は、報酬を支払う側が労働者へ支払う報酬から納めるべき税金を予め差し引いて国へ税金を納める制度のことでした。
フリーランスにとっては、予め毎月の報酬から支払う税額を差し引いてもらうことで、もれなくしっかり税金を納められるようになりますし、企業側にとっても年末にまとめて税金の計算をする手間が省けます。
先に税金を源泉徴収で支払っておけば、後になって「支払うべき税金が足りない」といった事態も防げるでしょう。いざフリーランスとして活躍していく際は、ぜひこの源泉徴収について復習しておいてくださいね!