【広島県世羅町】受講生18名が地元企業4社の課題に挑んだ「世羅町DXハッカソン」レポート|2026年9月19日〜20日開催

世羅町DXハッカソン レポート アイキャッチ

2026年9月19日(土)〜20日(日)の1泊2日、広島県世羅町で「世羅町DXハッカソン」が開催されました。主催は世羅町移住・交流促進協議会、デイトラは運営として参加しています。デイトラ受講生18名が4チームに分かれ、町内の企業・団体4社が抱えるデジタル化の課題に、2日間で向き合う企画です。

企業へのヒアリングは初日午前の90分だけ。そこから手を動かし、2日目には企業のみなさんの前で成果物を発表して、そのまま納品します。ホームページ、Instagram運用、チラシ、名刺、顧客管理など、出てきたものは、どれも「2日でつくった」とは思えないものばかりでした。

参加されたみなさんの投稿から、当日の2日間を振り返ります。

開催概要

  • イベント名: 世羅町DXハッカソン
  • 開催日: 2026年9月19日(土)〜9月20日(日)/1泊2日
  • 場所: 広島県世羅郡世羅町「世羅の宿 ひがし」
  • 主催: 世羅町移住・交流促進協議会
  • 運営: 株式会社デイトラ
  • 参加: 世羅町の事業者・団体4者(農家2軒/卸売・小売1社/地域の自治センター1団体)
  • 参加者: デイトラ受講生18名(4チーム)
  • 内容: ヒアリング → 企画 → 制作 → 発表・納品。優勝チームを決定

会場となった世羅町の施設(元小学校の校舎)

会場は旧・東小学校の校舎を活用した「世羅の宿 ひがし」。写真は8月の下見時のもの(画像:デイトラ 代表大滝のX投稿より)

初日の開会と2日目の発表会の閉会には、主催である協議会からご挨拶をいただきました。また、両日とも町の担当課の方々に現地でサポートいただいています。

目次

開催背景

このハッカソンは、世羅町移住・交流促進協議会とデイトラが取り組んでいる「関係人口創出プロジェクト」の第2弾にあたる企画です。

そもそも「関係人口」とは

移住して住民になるわけでもなく、観光で一度立ち寄るだけでもない。その町と継続的に関わり続ける人たちのことを「関係人口」と呼びます。

「移住してもらうにはなかなかハードルが高い。かといって一度きりの観光では、町の力にはなりにくい。その中間にいる”町のことを知っていて、また関わりたいと思ってくれる人”をどう増やしていくべきなのか」

これは多くの地方自治体が向き合っているテーマです。

世羅町が抱えていた「IT人材が少ない」という課題

人口減少や高齢化に直面している自治体は、全国に数多くあります。世羅町もそのひとつです。

「ホームページをつくりたい」「SNSで発信したい」と思っても、町内に相談できるIT人材がいない。都市部の制作会社に頼むにも接点がない。そうして後回しになってきた、というのが町の事業者さんたちの実情でした。

一方でデイトラには、学び終えて「次は実務の経験を積みたい」という受講生がたくさんいます。

企業・受講生・町の三方に持ち帰るものがある設計

この2つを突き合わせたのが、今回の企画です。

持ち帰るもの
地元の企業・団体 後回しにしてきた課題が、2日間で形になって返ってくる
参加した受講生 「自治体と連携して、企業のDXを支援した」という実績が残る
世羅町 町の課題に本気で向き合った18人と関係ができる=関係人口が増える

そしてこの形は、世羅町だけのものではありません。「町内にITスキルを持つ人材がいない」という声は全国の地方に共通するもので、今回の取り組みは同じ課題を抱える自治体にも応用できるモデルケースを目指しています。

なお、プロジェクトの第1弾はすでに走っているフォトコンテスト「#世羅フォトコン2026」です。特設サイトのデザインもInstagramの運用も、デイトラ受講生が担当しています。

参加した4者と、持ち込まれた課題

参加いただいた4者の顔ぶれはさまざまです。実店舗を持たず展示会で販売する卸売・小売の事業者、農協への卸が中心の農家、お米とさつまいもを育てる農家、そして地域の情報発信を担う自治センター。依頼の中身も、ホームページの新規制作、SNSでの発信、チラシ、顧客情報の管理と幅がありました。

集まった受講生も、実績づくりのために参加した方から、すでにフリーランスや法人としてプロで活動している方まで。年齢も経験もさまざまな18名が、全国から世羅町に集まりました。

1日目:クライアントワークの鍵となる「ヒアリング」からスタート

9月19日、世羅町でハッカソンが始まりました。

初日の午前はヒアリング。ここに全部がかかっています。企業のみなさんにお時間をいただけるのは10時30分から12時までの90分だけ。何を聞くかを決めていないと、あっという間に終わってしまいます。

大見自治センター様を担当したチームのリーダー・えりさんは、この90分を最大化するために「提案書を事前に作り込んで持ち込む」という手を打っていました。

事前情報からプロとして考えうる最適解をまず出し、それをたたき台に現実との差分を確認していく。さらにヒアリング時の座り方まで設計して、クライアントが安心して話せる場をつくる。「たった2日間で、本当に悩みが解決できるんでしょうか?」と不安を抱えていたクライアントの第一声が「これがいいです!!」に変わった、というエピソードは、この2日間の空気をよく表しています。

チームでの制作の様子

ヒアリングを終え、チームごとに制作へ(画像:デイトラ しょーへーさんの投稿より)

午後からは各チーム一斉に制作へ。

現地でしか撮れないものを押さえに行くチームもありました。ドローンでの空撮素材は、のちにホームページで使われることになります。

デイトラちゃんデイトラちゃん
初日の午前でヒアリングして、その日のうちに手を動かすの、めちゃくちゃハードだね…! でも「現地に行ったから撮れた素材」って、あとから絶対に取り返せないやつだよね〜

2日目:朝から仕上げ、15時に発表

2日目は朝からブラッシュアップ。深夜まで作業していたチームも少なくなかったようです。

成果物の発表

2日目15時、企業のみなさんの前で成果物を発表(画像:デイトラ しょーへーさんの投稿より)

そして15時から発表。各チームが企業のみなさんの前で成果物をお披露目し、そのまま納品しました。

発表を受けた企業のみなさんからは「新しいサイトを新卒採用の説明会で使うよ」「この熱量を裏切らないよう、改めて自社の商品に誇りを持って頑張りたいと思った」といったコメントが寄せられたそうです。当日の企業のみなさんの声は、デイトラ公式アカウントでも公開されています。

各チームのクライアント課題と制作物

「2日間でどこまでできるのか」がいちばん気になるところだと思うので、チームごとの成果物を見ていきます。

Aチーム:有限会社ひらた様

オーダーシャツ・スーツや革製品などを扱う卸売・小売の事業者さんです。実店舗を持たず、ご自身で展示会を主催して来場者へ販売するスタイル。顧客管理は紙の台帳で、案内は1件ずつ手作業。「案内できる数が、そのまま売上の上限になってしまう」ことが課題でした。

チームリーダーはあつしさん。

納品したのは4点。

  • LINE公式アカウントの構築
  • 機能拡張ツール「L Message」による顧客管理体制
  • Canvaで使えるチラシデザインのテンプレート
  • 社内クリエイティブ制作のための生成AI用プロンプト

顧客管理のデジタル化から、チラシを「自社でつくり続けられる形」にするところまでが一式になっています。「今回1枚つくって終わり」ではなく、文字を差し替えるだけでこの先も使えるテンプレートという形にしたのがポイントです。

実際に作成いただいたもの:

LINEアカウント
納品されたLINEアカウントの一部
【広島県世羅町】受講生18名が地元企業4社の課題に挑んだ「世羅町DXハッカソン」レポート|2026年9月19日〜20日開催
展示会用チラシの一例

Bチーム:向原ファーム様

ベビーリーフサラダを中心に、キュウリ・ナス・ニンジンなど季節の野菜を育てている農家さんです。農協への卸が中心で自社の店舗がないため、卸先の担当者や購入者が会社概要を確認できる場所がない、というのが課題でした。

千佳さんのチームが担当し、実際に畑へ取材・撮影に伺うところから始めています。

納品したのは2点。

  • 会社紹介のWebサイト
  • 名刺兼ショップカード

ほぼ24時間でWebサイトと名刺兼ショップカードを完成させ、向原ファーム様にも喜んでいただけたそうです。

実際に作成いただいたもの:

【広島県世羅町】受講生18名が地元企業4社の課題に挑んだ「世羅町DXハッカソン」レポート|2026年9月19日〜20日開催
納品されたWebサイトのスクリーンショット

Cチーム:大見自治センター様

大見地区の情報発信を担う拠点である「大見自治センター」。お祭りやイベント、野菜づくり教室などをInstagramのリールで発信してきましたが、閲覧数が伸び悩んでいました。「地区のなかだけでなく、地区の外にも届けて関係人口を増やしたい。でも運用に割ける時間と人手が限られている」というのが根っこの課題です。

リーダーはえりさん。事前に提案書を準備して会場入りし、あきらさん・ちったかさん・ともこさんと分担しながらInstagram運用の仕組み作りを行いました

納品したのは、自治センターの皆さんご自身で運用を回し続けられる形に寄せた一式です。

  • フォローすると何が得られるかが伝わるプロフィール文
  • ハイライトの設定と、アイコン・イラスト画像
  • リール投稿用の台本・テンプレート
  • 投稿の方向性とネタ帳
  • 動画編集ツール(CapCut)の使い方案内

「2日間で運用の労力そのものをなくすことはできない」という前提に立ったうえで、引き継いだあとに自走できる形を選んだチームでした。

実際に作成いただいたもの:

【広島県世羅町】受講生18名が地元企業4社の課題に挑んだ「世羅町DXハッカソン」レポート|2026年9月19日〜20日開催
実際に納品されたInstagramアカウントのプロフィール
【広島県世羅町】受講生18名が地元企業4社の課題に挑んだ「世羅町DXハッカソン」レポート|2026年9月19日〜20日開催
テンプレートによって整えられたフィード画面

Dチーム:株式会社ミライズフーズ様

お米とさつまいもを生産し、道の駅などへ出荷されている農家さんです。「会社を紹介できるホームページがない」「Instagramの運用方法がわからない」「販促チラシを作った経験が少ない」という3つの課題からのスタートでした。会社名でGoogle検索したときに会社概要が出てくる状態にしたい、というのが一番の希望です。

リーダーは伊藤方貴さん。

納品したのは7点。

  • 7ページ構成のホームページ(メインページ4P+サブページ3P)
  • Instagram投稿テンプレート4種
  • LINE導線のQRコード付きチラシ
  • ホームページのQRコード付き名刺
  • Googleマップ対策
  • AI×情報収集ツール
  • 勤怠管理フォーマット

当初挙がっていた3つの課題を超えて、その先の発展につながる支援まで形にした格好です。ホームページの実装を担当したはらしょーさんによると、実質のコーディング時間は10時間を切っていたとのこと。初日に撮影したドローンの空撮素材も、このサイトで使われています。

チームメンバーの一人・はちわれさんは、チラシ・名刺・動画編集まで幅広く担当しています。

実際に作成いただいたもの:

【広島県世羅町】受講生18名が地元企業4社の課題に挑んだ「世羅町DXハッカソン」レポート|2026年9月19日〜20日開催
実際に納品されたサイト。ファーストビューには動画が挿入されている。

なお、納品されたホームページは、12月に開催される高校生向けの企業説明会で早速使われる予定とのことです。

 

そして、優勝は…

4チームの発表を終えて優勝に選ばれたのは、大見自治センター様を担当したCチームでした。

「クライアントの悩みや課題に向き合い、脳みそに汗をかきながら施策を立て、限られた時間の中で実行をやり抜く」。えりさんはこの2日間をそう振り返っています。

「AIだけでは、あの域まで届かない」

今回いちばん多く語られていたのは、成果物の量ではなく「何にAIを使い、何を人がやるのか」でした。

デイトラ代表の大滝は、総括でこう書いています。「AIでどんなに作業はラクになっても、AIだけではあの域まで届かない」。

同じことを、参加者もそれぞれの言葉で書いていました。

AIがあるから何でもできるわけではなく、「何を作るのか」「なぜ作るのか」を最初にしっかり決めることと、AIを活かすための知識もやっぱり必要だ

Dチームリーダーの伊藤さんも、発表の場で同じ趣旨のことを話されたそうです。「高い技術があるだけでは、本当に良いものは作れない」「”誰に、何を届けたいのか”を考えるのは、人」。そのうえでAIや技術を適切に使う、と。

ヒアリングに全力を注いだえりさんの投稿にあった「プロとしてやるなら答えを相手に委ねない」という言葉も、同じ方向を向いています。2日間という制約のなかで、みなさんが同じ結論に行き着いていたのが印象的でした。

参加者が持ち帰ったもの

成果物とは別に、参加されたみなさんが持ち帰ったものについても、たくさんの投稿がありました。

初日のヒアリングで心配そうな顔をされていたクライアントが、納品後に明るい笑顔に変わっていた、という場面の描写は、リモートの受注が中心だと、なかなか味わえないものだと思います。

チームで動いたからこそ、という声も目立ちました。ひとりでは思いつかないアイデアが出てくる、自分には対応できないことを誰かが形にしてくれる。初対面のメンバーで、しかも2日間で、そこまで持っていけるのかという驚きがあります。

 

 

運営から

PMとしてイベントに関わった水本の振り返りも、あわせて紹介させてください。

企業も参加者も集まるだろうか、という不安から始まり、課題の情報整理やチーム編成に頭を悩ませながら準備してきた2日間でした。納品物がどう活かされるのか、受講生にとってどう働くのかは、これから追っていくことになります。

世羅町×デイトラのプロジェクトは、まだ続きます

世羅町移住・交流促進協議会との「関係人口創出プロジェクト」は、3つの施策で動いています。

  1. フォトコンテスト「#世羅フォトコン2026」(9月1日〜10月31日)
  2. DXハッカソン(9月19日〜20日/今回のイベント)
  3. 町民向け講演会「デジタルで広がる新しい働き方」(10月17日 13:30〜15:30/せら文化センター)

このうちフォトコンテストは、10月31日まで応募を受付中です。

テーマは「世羅ぐらし」。世羅の町並みや、そこで暮らす人たちにスポットを当てた一枚を募集しています。最優秀賞は、町の広報紙の表紙に採用されます。

応募方法

  1. Instagramで公式アカウント(@seraphotocontest)をフォローする
  2. 期間内に撮影した写真を「#世羅ぐらし」「#世羅フォトコン2026」の2つのタグをつけて投稿する

※アカウントを公開設定にしていないと応募が確認できないため、非公開の方は公開に切り替えてください。

学びを本物の実績に。デイトラの挑戦と想い

学んだスキルは、実際の仕事で使ってはじめて本物の「実績」になります。だからこそデイトラでは、かねてより、受講生が実案件に触れ、プロへの一歩を踏み出せる機会を増やすための取り組みを続けています。

今回のように、実在する企業のリアルな課題に挑み、納品までやり切る経験はその一環です。

次回の開催時期は未定です。それでも、納品を受け取った企業のみなさんの表情と、参加した18人が持ち帰った確かな実績と手応えを見て、運営としても「こうした機会をもっと作っていきたい」と強く実感しています。

こうした企画の募集は、受講生向けのDiscordでお知らせしています。受講中のみなさんは、お知らせのチャンネルを見逃さないようにしてみてください。

デイトラちゃんデイトラちゃん
2日間でここまで来るの、ほんとにすごい…! 次の機会が出たら、Discordのお知らせを見逃さないようにしようね〜