畑違いのキャリアをどうやって強みに変える?教師⇒フリーランスという異色な経歴の背景に迫ってみた。 ちづみさん 突撃インタビューvol.8

異業種への転職って怖いですよね。
これまでの経験が通じない世界へ飛び込むのは、非常に心細い思いがします。
しかも、それが未経験からフリーランスwebデザイナーへとなったら、どうしていいかわからなくなりそうです。
そこで、今回は教師からフリーランスwebデザイナーに転身し、現在は講師業も行っているちづみさんにインタビューしてきました!

インタビュー概要

  • キャリアを変えることについてどう考えていたのか?
  • どうやって未経験からフリーランスになったのか?
  • 一見無関係なキャリアをどう活かしたのか?


などについて迫っていきます!
ちづみ
【インタビュアープロフィール】ちづみ(@098ra0209
WEB制作・映像制作フリーランス。
会社員、小学校教師を経てフリーランスになるという異色の経歴を持つ。
現在はフリーランスとして活動しながら、フリーランス向けの講師業も行っている。

初芝
【インタビュアープロフィール】初芝賢(@hatushiba_ken
東京フリーランス編集長。現在はシステム開発のPMや新規事業に携わる一方で、フリーランスライターとして出版・キャッチコピー・WEBメディア連載などを手掛けている。東京フリーランスではインタビュアーや司会進行を務めることが多い。

「子どもに自営業を教えたい」と教師からフリーランスに


初芝
ちづみさんはWEB制作とデザイン、教育事業をやられていますよね。
WEB系の勉強は昔からしていたんですか?

ちづみ
いえ、そんなことはないですね!
学生時代は教育学を学んでいて、卒業後もそのまま教師になりました。

初芝
もともと教師からフリーランスエンジニアになったんですね!
全然違う道に見えるのですが、キャリアを変えた理由はなんだったのでしょうか?

ちづみ
一言で言うなら、「子どもに自営業を教えたい」というのが理由ですね。

初芝
!?
どういうことですか?

ちづみ
これだけじゃわからないですよね(笑)
前提として、私は三年間会社員と教師を兼任する形で働いていたんですね。
林間学校の受け入れを行う会社で教育活動をしながら、オフシーズンでは小学校教師として学校で教えたりと。
大変ではありましたが、会社も仕事も好きすぎて、休日も自主的に働くことがよくあったくらいでした。

ちづみ
でも、働いているうちに、「どうしても集団教育に特化してしまう」ことにもどかしくなっていったんです。
子ども一人ひとりを見るというよりは、集団としてどう教育するかを重視する仕事だったので。
ある程度は仕方ないこととは思うのですが、「教員としての役目って、子どもがやりたいことに向けて、長期的に生きていくための手助けすることじゃないか」という自分の想いとの葛藤がありました。

初芝
なるほど…。
その、「子どもがやりたいことに向けて、長期的に生きていくための手助け」が、「自営業を教える」ということに繋がるのでしょうか?

ちづみ
そうですね。
実は、今の子どもって個人業への願望がとても強いんですよね。
子どもに将来何をしたいか聞いてみると、「YouTuberになりたい」「社長になってお金持ちになりたい」「ケーキ屋をやりたい」とか。
組織の一員で働くというより、個人の力で稼ぐ未来を描いている子どもが本当に多いんです。

初芝
「個の時代」と言われますが、子どもにまでその意識が浸透しているとは…。

ちづみ
でも、「個人で稼いで生きていきたい!」という子どもに対し、自分は教えられないなというもどかしさがあったんです。
自分が自営業をやってないから、わからない。ケーキ屋のなり方も、YouTuberのなり方も教えられない。
だから、まずは自分で自営業をやってみようと。
そう考えて、フリーランスになりました。

初芝
そういう経緯だったんですね!
ということは、将来的に子供へ自営業を教えたいのでしょうか?

ちづみ
そうですね。
教員という形ではないと思いますが、子どもの選択肢を広げる活動をしたいと思っています。その中で必要であれば個人業で生きていく方法を教えていきたいなと。

初芝
なるほど…!
今の環境が嫌とか、プログラミングが好きとかではなく、自分が将来やりたいことから逆算しての選択。
なかなか珍しいキャリアの決め方かもしれませんね!

iSaraを通してフリーランスデビュー

初芝
とはいえ、全くの未経験からのフリーランスですよね。
ある程度情報収集してからフリーランスになったのでしょうか?

ちづみ
いえ、最初は「パソコンがあればいいのかなぁ」くらいでした(笑)
「プログラミングは必修化されたし知っておくべきだな」「パソコンでできる仕事が何かないかな」と考えながら、職業訓練所を探したりしていました。

ちづみ
そうしている中で、Twitterを開いたらたまたまiSaraの話がRTで流れてきて。
「あ、これよさそう!」と参加しました。それが2018年の2月頃ですね。

初芝
iSaraと言えば、東フリ運営メンバーのショーヘーさんが立ち上げに参加したプログラミングスクールですよね。
そこではどんなことを勉強しましたか?

ちづみ
WEB制作の基本ですね。
あとは営業方法や、SNSでの発信方法とか。
自分が求めていたものがあったので、とても価値がある経験でした。

初芝
そこでフリーランスとしての基礎を学んだんですね!
初学者の勉強って大変かなと思いますが、どんな風に学習していましたか?

ちづみ
課題を講師の方が見てくれる形だったのですが、相手ファーストを意識していました。
「課題見てくれるけど、絶対忙しいもんなぁ」と考えて。
だからぱっと見れる形で提出したりしていました。

ちづみ
もともと、「迷惑をかけたら申し訳ない」と思う性格なんですね。
相手の顔色をうかがうところがあって。
でも、相手ファーストで仕事をすることは、今クライアントワークをしているのに活きている気がしますね。

初芝
たしかに、「相手の立場でコミュニケーションをする」というのはとても大事ですよね!
WEB制作の勉強をしながら、お客さんとのやり取りの勉強にもなっていたんですね。

フリーランスは「教師よりは大変じゃなかった」?


初芝
iSara終了と同時にフリーランスになったんですか?

ちづみ
そうですね!
帰国してすぐ、3月に開業届を出しました。

初芝
フリーランスなりたては大変でしたか?

ちづみ
大変は大変なんでしたね。
でも、教師よりは大変じゃないかなって思いました。

初芝
それは何故でしょうか?

ちづみ
これだけでは語弊があるかもですが(笑)
そうですね!もちろんお客さんの求めるものを作るのはとても責任感のあることです。
しかし教員の場合、子どもの将来につながることをしているんだと考えるとその責任の重圧がとても重くて、、悩み続ける日々でした。
個人事業が大変じゃないというわけでは決してなく、それぞれ違うジャンルなので比べられないものですが、責任の重圧から考えるととても⼤きくって。

ちづみ
あと、労働面で言うと一定期間と経験値が溜まって仕事を生み出せる、オリジナルの商品が作れるフェーズに入ると、仕事に対して得意分野だけの提供、かじ取りのしやすい仕事に変えていけるので、自分のサービスが作れると強いなと思いました。
「教師よりは大変じゃないんだな」と思えたから、フリーランスとしてやっていけそうだなと思いました。

ちづみ
とはいえ、最初の数か月は安定して生計が立たなかったんですけどね(笑)
でも、苦労することは前提だったので、「こういうもんだな」とギャップはなかったです。

初芝
たしかに、子どもの責任を負わなければいけない教員は大変そうですね…。

「どんな仕事でもやる」というスタンスがフリーランスとしての安定に

初芝
フリーランスと言えば、受注が大きな課題になりますよね。
どうやって受注していましたか?

ちづみ
最初はクラウドワークスですね。
それから、対人営業です。
地元へ帰ったときに、会う人会う人に仕事をお願いしていて(笑)
どこでも「サイト制作できるんで!」と言っていたら、結構お仕事もらえましたね。

ちづみ
あとは、小さくても、どんな仕事もやっていましたね。
話がきたらやる、というスタンスでした。チラシ制作から、ライティングまで。
あとは制作会社を紹介してもらったりとか。

ちづみ
そうしてたら、そこから継続して仕事が増えたりしていったんです。
知り合いが増えると受注の確率も上がるので、なんやかんや仕事は来るようになりました。
フリーランスになって半年くらいで安定してきましたね。

初芝
チャンスを逃さず、なんでも受ける。
そのスタンスがフリーランスとしての安定に繋がっていったんですね!

一見無関係なキャリアを、自分の強みに変換する。

初芝
今のフリーランスとしての仕事と以前の教師のキャリアと繋がってる部分はありますか?

ちづみ
今はWEBデザイン業務がメインでお仕事をしていますが、私が教員になったのも、物事を上⼿くわかりやすく伝えることが⼤好きだったからだったんです。中学時代、授業のノートを⾃分なりにわかりやす書いたら「すげーわかりやすい」と⾔われたのがきっかけで教員を⽬指すようになって。

ちづみ
それ以来、難しいことを誰でもわかりやすく伝えることにハマっているんですけど、今まで繋がっている感じがしますね。
Webデザインをやっていても「わかりやすく伝える」スキルは結構生きていると感じます。ウェブサイトの目的、目標に向けて情報の整理、要約してデザインを組み立てていくのは楽しいです。

ちづみ
あとは田舎フリーランス養成講座(いなフリ)」と「iSara」のフリーランス向けの講師メンターとして自分のクラウドソーシングや地元営業、スキルの部分でシェアしたり、サポートしたりしています。

初芝
webデザインと講師業という仕事、教師のキャリアと繋がっていますね!

ちづみ
あと、「自分がやったこと以外は話さない」というスタンスで講師をしているのですが、これもかつての経験が影響していますね。
林間学校の受け入れの仕事をしていて色んな学校を見てきましたが、先生と生徒の信頼関係がある学校には特徴があったんです。
良い学校は、どこも「先生も一緒に体験している」んですね。
カレーを一緒に作っていたり、掃除を一緒にやったり。

ちづみ
深い言葉を言えるかよりも、ただ一緒に同じ視点で頑張れるかが大切なんだとその時感じました。
それって教員はもちろん、フリーランスで講師業をやるときも同じだなと。
だから、とにかく自分がやったこと以外は話さないし、まずは自分でやることを大事にしています。受講生の方にも、私の経験を見つつ、自分で判断して今後のキャリアを切り開いていってほしい思いがあります。

初芝
かつての経験が今の強みに繋がっているんですね!

ちづみ
そうですね!
強みという意味では、教員経験で培った「わかりやすさ」を講師業としての武器にしています。
情報をパッとわかるようにしたり、言葉も柔らかくしたり。
あと、提案のときも「元教員なのでやり取りは丁寧にさせて頂いています!」とアピールしていました。

初芝
一見無関係なキャリアでも、自分の強みに変換する。
そうやって意識的に自分の強みを作っていくこと、フリーランスにとって大事ですね!

「SNSでの情報に囚われず、自分に合った仕事を見つけることが大切」


初芝
最後に、フリーランスになりたい方へのメッセージをお願いします!

ちづみ
自分のやりたいことを見極めるべきだと思います。
一部の情報だけを受け取っていると、考え方が偏ってしまいますので。
例えば最近はプログラミングが流行っていますけど、「プログラミング、安定は安定するけど大変だよ」と思います。
色んな業界で働いている人の話を聞くのがよいんじゃないかと。

ちづみ
SNSでの情報収集って結構怖いなと思っているんですね。
結構衝撃的だったのが、「フリーランスってSNSないと生きていけないですよね?」と最近言われて。
もちろんそんなことは全くないですけど、SNSしか見ていないとそう見えるのかなって。

ちづみ
色んな仕事があることを知った方がいいと思うんですね。
業種にしても人材紹介とか転売とかもあるし、バックグラウンドをもっと生かせる仕事は色々あるはずです。
でも、SNSだけで情報収集をしていると、情報が偏ってしまうんですね。

ちづみ
たしかに、サイト制作とかライターとか、ロードマップがある仕事は増えてきています。
でも、「技術職になりたい」とかじゃなくて、「自由に場所を選ばずに生活したい」とかならもっといろいろあるんじゃないかと。
そういう意味で、自分に合う業種をゼロから考えながら、自分のやりたいことを見極めることが大切だと思います。

初芝
ちづみさんも教員時代の強みを活かしてフリーランスをやられていますしね。説得力があります。
本日はありがとうございました!

こしば
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