飲食店のAI活用術|少人数で年商3億を回すラーメン店の経営事例を徹底解説

動画でも内容を確認したい方はこちら

「飲食店や店舗ビジネスでAIなんて使う場面がないのでは?」と感じている経営者の方は多いのではないでしょうか。
実は、飲食店のAI活用は契約書・経理などのバックオフィスから売上分析・SNS販促まで幅広く効き、少人数でも事業をスケールさせる武器になります。
本記事では、煮干しラーメン店「にぼし香」を創業2年半で7店舗・年商3億円ペースまで成長させた実例をもとに、店舗ビジネスにそのまま転用できるAI活用の型を解説します。
執筆者は動画の解説者本人である、デイトラ運営兼にぼし香オーナーの大滝昇平です。

本記事の内容

・少人数で年商3億円ペースを実現した、ラーメン店「にぼし香」のAI活用の全体像
・契約書・経理・マニュアル作成などバックオフィス業務をAIで自動化する方法
・売上データ・販促・SNS運用にAIを組み込む具体的な仕組み
・AI活用の本質=浮いた時間をプロダクト改善に集中させる経営の考え方

少人数で年商3億円ペース。ラーメン店「にぼし香」の飲食店AI活用とは

創業2年半で7店舗に拡大したにぼし香の実績を語るシーン
創業2年半で7店舗まで拡大。年商3億円ペースで成長中

今回のテーマは、デイトラの運営に関わる大滝昇平が経営する煮干しラーメン店「にぼし香」の裏側です。
「ラーメン屋さんにAIなんて使う場面がないのでは? AIが湯切りをできるわけでもないし……」という疑問に答える形で、店舗ビジネスにおけるAI活用の実例を深掘りしていきます。

まず、にぼし香の実績を整理します。

  • 創業は約2年半前。年末に1号店をオープン
  • そこから現在は7店舗ほどに拡大
  • 年商規模は今年3億円に届くペースで成長中

飲食店がこのスピードでスケールしていくのは珍しいケースです。
もちろん現場にはたくさんのスタッフがいますが、その裏側を運営する本部はごく少人数で、しかも全員が他の仕事や現場と兼務しながら回しています。

少人数で回せている理由のど真ん中にあるのがAI活用です。
大滝自身は「業態が飲食店というだけで、中身はAIとマーケティングの会社」と表現するほど、運営のあらゆる場面にAIを組み込んでいます。

本記事では、その中身を①バックオフィス、②データ・販促・SNS運用、③経営の本質という3ステップで紹介します。
中小企業やお店を経営している方にとって、活用のヒントになるはずです。

目次

飲食店のAI活用例①:バックオフィス業務の自動化

契約書の下書きをAIで7〜8割作成する運用を解説するシーン
専門書類は下書きの時点でAIが7〜8割を作成。専門家は最終チェックだけ

1つ目はバックオフィスです。
法務・財務・労務といった領域はどうしても専門知識が必要で、専任の担当者を雇ったり顧問を入れたりするのが一般的です。

契約書などの専門書類はAIで下書きし、専門家は最終チェックだけ

にぼし香では、この領域の下書きをすべてAIに任せています
専門家の稼働が100%にならないよう、下書きの時点で7〜8割できた状態を作り、専門家には最終チェックだけを依頼する体制です。

例えば雇用契約書や、フランチャイズ展開に伴うフランチャイズ契約書などの書類を用意するタイミングでは、次の流れで作成します。

  1. 盛り込みたい項目を箇条書きでバーっと書き出す
  2. ClaudeなどのAIを活用して契約書の下書きに仕上げてもらう
  3. 最終的に問題がないかを弁護士やフランチャイズ専門のアドバイザーにチェックしてもらう

これにより、コストを下げながら作業スピードも上げられています。
AIを使って社内の書類を整理している飲食店はほとんど聞いたことがなく、だからこそ業務効率の差を圧倒的に出しやすい業界だと言えます。
飲食店に限らず店舗ビジネス全般でまだ実践できている店舗は少ないため、早く始めるほど勝ち目があるはずです。

領収書・請求書はSlackに投げるだけ。OCR×freee連携で経理を自動化

バックオフィスの活用例として、請求書・領収書の処理も自動化しています。

お店には取引先の企業から領収書や請求書が届きます。
その処理は、店舗スタッフがSlackに「この領収書処理しといて」と投げるだけです。

裏側の仕組みは次のとおりです。

  1. Slack内に導入したAIエージェント「OpenClaw」が、投稿されたスクショやPDFを領収書フォルダへ自動で保存する
  2. 定期実行のスケジュールが走り、溜まった写真・PDFをOCRで読み取る
  3. 振込先・会社名・支払期日と金額・仕訳項目などを抽出し、人間の確認が必要な項目と自動で仕訳できた項目を分けて、データ入力の下書きまで完了させる
  4. 経理担当は人間確認項目をチェックし、問題なければ承認。MCPで接続しているfreeeに毎月の領収書・請求書データとして登録される

通常であれば経理担当を雇って対応する業務ですが、この仕組みなら経理担当は月に1回、確認と承認をするだけ
実際の作業は1日もかからずに終わります。

マニュアル作成は音声入力アプリ×Notionで

店舗を運営していると、業務マニュアルを作らないといけないタイミングが来ます。
にぼし香では、最近増えている音声入力アプリを活用しています。

例えばラーメンの調理マニュアルを作る場合は、次の流れです。

  1. 店長クラスのスタッフに、音声入力アプリ「Aqua Voice」を使って作り方の手順をバーっと喋ってもらう(喋った内容をある程度きれいに整形してくれる)
  2. 書き出された下書きに、調味料のグラム数などの詳細をあとから書き足す

これだけでマニュアルが完成します。
書き起こされたマニュアルはすべてNotionに保存されるようになっており、調理マニュアルや接客マニュアルなど、各種マニュアルがすでに揃っている状態です。

そもそも飲食店ではマニュアル自体が存在しないケースも多い中、フランチャイズ展開を始める際にアドバイザーへNotionのページを見せたところ、「ほぼ出来上がってるじゃないですか。やることないですよ」と言われたほどの完成度でした。

なお、にぼし香は現在フランチャイズでも店舗展開をしています。
直営が3店舗で、今年に入ってフランチャイズ店舗数が直営を上回りました
初期投資を2年ほどで回収できるモデルとのことで、詳細は動画概要欄にフランチャイズの案内ページが掲載されています。

バックオフィスのワークフローは、最初に組み上げるのは大変ですが、一度作ってしまえば前の状態には戻れないほど楽になります

※OCR・MCP
OCRは画像やPDFから文字を読み取ってデータ化する技術のことです。MCP(Model Context Protocol)はAIと外部ツールを接続するための仕組みで、動画ではAIが会計ソフトfreeeへ直接データを登録するために使われています。仕組みの名前を覚える必要はありませんが、「AIが書類を読み取り、会計ソフトまで自動登録できる」と理解しておけば十分です。

飲食店のAI活用例②:売上データ分析・販促・SNS運用

データ・販促・SNS運用のチャプターで売上集計の方法を話し始めるシーン
2つ目のテーマはデータ・販促・SNS運用。まずは売上集計の仕組みから

2つ目は売上などのデータ分析と販促です。

売上集計は「紙のノートと電卓」からデジタル券売機×freee自動連携へ

実店舗の売上集計というと、毎日レシートをノートに貼り、月末に1枚1枚めくりながら電卓で合計を出す……という昔ながらの方法をイメージする方も多いはずです。
実際、この方法で集計しているお店は今でも存在しますが、月末の集計作業は本当にきつい業務です。

にぼし香では、そもそもこの作業自体を最初から潰しています。
スマレジや、インターネットにつながって売上を自動でデータ集計できるデジタル券売機を導入しているためです。

  • 現金も使えるが、現金がいくら使われたかも含めてすべてデータ化される
  • 売上データはfreeeに自動連携され、月が終わった時点でその月の売上が勝手に入っている
  • 毎日の売上も集計済みの状態で確認できる

売れ筋・曜日別の傾向がわかり、マーケティングに直結する

デジタル券売機で売上がデータ化されていると、何の商品がどれだけ売れているかもすべて分かります。

にぼし香では毎週、週替わりの限定メニューを出していますが、どのメニューのときに来客が多いか、何がヒットしているかがデータで見えます。
滑ったメニューは出すのをやめ、次の商品開発に活かすという改善サイクルを回せるのです。
仕入れの最適化にも使えますし、「何曜日の昼は弱い」「土日の夜は意外と強い」といった曜日・時間帯の傾向も分かります。

まだレジがネットにつながっていないお店は、まずそこから始めるのがおすすめです。
AIがすごいのではなく、AIが読み込む前提となるデータがあって初めてすごくなるため、データを集める仕組みづくり(ナレッジマネジメント)が先決です。

SNS・販促物はChatGPTで構図出し→デザイナーが仕上げる

販促とSNS運用では、本部が業務委託でお願いしているデザイナーにも、AIをゴリゴリ使ってもらっています。

季節の限定メニューの告知や新店オープンの告知など、ポップやポスターを作る際は基本的にまずAIを使う運用です。
最近いちばん使うのはChatGPTで、画像生成モデル「GPT Image 2」のクオリティが非常に高いため、これで何パターンも画像を作らせ、それを参考にデザイナーが仕上げる流れにしています。

料理写真にAI生成画像を使ってはいけない理由

一方で、誤解のないように強調しておきたいのが、料理の写真にAI生成画像を使うのはNGという点です。

AIで生成した画像は本物と微妙に違います。
実際には乗っていない具材が乗ったラーメン画像で販促をしてしまうと、「実物と違うじゃないか」というクレームにつながるだけでなく、優良誤認として法律違反になる可能性もあります。

だからこそ、にぼし香でのAI画像の使い方は「構図の参考」まで。
何でもかんでもAIに任せるのではなく、ここはAIに任せる、ここは人間がやる、と言語化して線引きすることが重要です。AIも道具の一種であり、どのシーンで使うかを考えながら使う必要があります。

SNS・口コミ・アクセス数をAIが毎週定点観測する

Googleマップへの口コミ増加数などをAIが定点観測していると解説するシーン
SNSフォロワー数やGoogleマップの口コミ増加数などをAIが毎週定点観測

データ分析系でいちばん効いているのが、AIによる毎週の定点観測です。
AIに毎週追わせている数字には、次のようなものがあります。

  • SNSのフォロワー数の伸び率
  • エゴサーチした投稿のポジティブ・ネガティブ分析
  • 公式サイトのアクセス数
  • Googleマップへの口コミの増加数

こうした数字を集計してマーケティングに活かす作業は、人力でやるとスタッフの1〜2日が潰れるボリュームです。
にぼし香では毎週月曜日に定例ミーティングを行っていますが、定例前にAIが数字を集め、なぜ増減したのかの分析まで済ませてくれるため、ミーティングは「数字をどう活かすか」という今後のアクションの洗い出しから始められます。

※優良誤認
商品やサービスを実際よりも著しく良く見せる表示のことで、景品表示法で禁止されています。動画の文脈では「AI生成画像のラーメンが実物より豪華に見えてしまう」ことがこれに当たり得るという注意喚起です。販促物にAI画像を使う際は、実物と異なる表現になっていないか必ず確認しましょう。

AI活用の本質は「浮いた時間をプロダクトに集中させる」こと

経営の本質について、浮いた時間をサービス向上に使うと語るシーン
AIで浮いた時間を、サービスやお客さんへの対応を良くすることに使う

ここまで紹介したように、にぼし香ではクリエイティブもバックオフィス業務もAIで回しています。
これをやっていくと何が起きるかというと、時間が浮きます

浮いた時間は、次のような「本来やるべきこと」に使えるようになります。

  • お店のコンセプト設計
  • より良いサービスを提供するための新規施策の立案
  • サービスやお客さんへの対応を良くするための時間

人数が少なくても時間に余裕があり、スタッフが「今週の領収書を出さなきゃ」といった作業に何時間も取られることなく、自分たちの専門領域=プロダクトを良くすることに全集中できている。これが良い結果につながっています。

AI活用というとコスト削減に目が向きがちですが、それは当然の効果であり、浮いたリソースで何をやるかの方がさらに重要です。
にぼし香は、浮いたリソースを会社を伸ばすことに使う意思決定をしている、というわけです。

今後の展望:問い合わせの一次回答と立地選定のAI化

それでも、まだまだ効率化したい領域はあります。

1つ目は問い合わせ対応です。
店舗への問い合わせやフランチャイズの問い合わせは、現在は丁寧さを重視して人手で対応しています。
ただ、同じような質問も多いため、社内のナレッジデータベースをもとにAIが一次回答する形にしていけば、待たずにすぐ答えが返ってくる新しい顧客体験にもなります。

2つ目は出店の立地選定です。
店舗ビジネスは場所選びで勝負の7〜8割が決まると言われるほど立地が重要ですが、現状は「データ上は良い立地でも、現地に行って観察するとダメだと分かる」という職人の経験に頼る領域です。
すでに出店した7店舗のデータに加え、視察したが選ばなかった場所のデータも溜まっていくため、職人芸だった立地選びをAIに落とし込めないかを次のステップとして考えています。

飲食店のAI活用に関するよくある質問

Q. 飲食店でAIは本当に使えるのでしょうか?

使えます。調理そのものではなく、契約書の下書き・経理処理・マニュアル作成・売上分析・SNS販促といった本部業務で効果を発揮します。動画で紹介したにぼし香は、AI活用によって少人数の本部で7店舗・年商3億円ペースの運営を実現しています。

Q. AI活用を始めるには、まず何からやればいいですか?

まずはデータを集める仕組みづくりからです。レジをネットにつなぎ、売上が自動でデータ化される状態を作りましょう。AIは読み込む前提となるデータがあって初めて力を発揮します。

Q. 経理をAIに任せるのは不安です。どこまで自動化できますか?

動画の事例では、領収書の読み取り・仕訳の下書き・会計ソフトへの登録までを自動化し、人間の確認が必要な項目は分けて残す設計にしています。経理担当は月1回のチェックと承認だけで済み、丸投げではなく「下書きはAI・最終チェックは人間」という分担が基本です。

Q. 販促物やSNSの画像はすべてAIで作っていいのでしょうか?

料理写真は避けるべきです。AI生成画像は実物と微妙に異なるため、クレームや優良誤認(景品表示法違反)につながる恐れがあります。AIは構図の参考出しまでに留め、仕上げは人間のデザイナーが行うのが安全です。

Q. 契約書のようなリスクの高い書類までAIで作って大丈夫ですか?

AIが作るのはあくまで下書きです。動画の事例でも、雇用契約書やフランチャイズ契約書は最終的に弁護士や専門アドバイザーがチェックする体制を取っています。専門家の稼働を最終確認だけに絞ることで、品質を保ちながらコストとスピードを両立できます。

AI活用を体系的に学びたい方は公式LINEへ

本記事で紹介したような業務へのAI活用を、自社や自分の仕事にも取り入れたい。
そんな方に向けて、デイトラの公式LINEでは有益情報や無料のWebスキル診断を配信しています。

「何から手をつければいいか分からない」という段階でも大丈夫です。
無料の学習動画などの特典もプレゼント中なので、まずは情報収集として気軽に登録してみてくださいね。

▶︎デイトラ公式LINEに登録してみる

この記事を書いた人
大滝昇平(@showheyohtaki
デイトラの運営に関わりながら、煮干しラーメンのブランド「にぼし香」も経営しています。創業から5年で約10億円規模の事業を上場企業へM&Aし、少人数で高利益を出す事業づくりを得意としています。自身のWeb・AI活用のノウハウを、中小企業の経営者向けに発信しています。