プログラミングって何だか難しそう…
AIアプリ開発なんて、専門家じゃないと無理なのでは?
プログラミングに興味を持ち始めたばかりのころは、誰もがそう感じるかもしれません。しかし、実はPythonというプログラミング言語を使えば、簡単にAIを使ったアプリを開発できます。
この記事では、プログラミングが初めての方向けに、Googleの最新AI「Gemini」を使った画像認識アプリをゼロから開発する方法を解説します。
記事の手順に沿ってコードをコピー&ペーストしていくだけで、AIアプリを完成できるので、ぜひ一緒にやってみてください。
※本記事の内容は2025年6月25日時点のものです。本記事で紹介したツール・機能を利用する際には、必ず最新情報をご確認ください。

今回作成するAI画像認識アプリ

今回作成するのは「料理カロリー診断アプリ」です。
- 「ファイルを選択」ボタンから、診断したい料理の画像を選ぶ
- 「診断する」ボタンをクリックする
たったこれだけで、AIが画像を瞬時に解析し、画面にその料理名・カロリー・タンパク質・脂質といった栄養情報を表示してくれます。
例えば、下記の画像のようにカレーライスをアップロードすれば、AIが「カレーライス」と認識し、そのカロリーや栄養素を教えてくれます。

もちろん、カレー以外のさまざまな料理にも対応可能です。とんかつも、AIがしっかりと判別してくれます。

STEP1:開発環境の準備をしよう
本格的なアプリ開発を始めるには、通常「環境構築」という作業が必要です。
これは、プログラミングを行うためのツールやソフトウェアを自分のPCにインストール・設定する作業で、初心者にとっては最初のつまずきポイントになりがちです。
しかし、今回はReplit(レプリット)というオンラインの開発ツールを使います。
Replitを使えば、Webブラウザ上で直接コードを書いてアプリを動かせるため、難しい環境構築は必要ありません。
それでは、Replitを使って開発の準備を始めましょう。
Replitのアカウント登録
まずは、Replitの公式サイトにアクセスしてください。
アカウントをまだ持っていない方は、サイトの指示に従って新規登録を済ませてください。
Pythonプロジェクトの作成手順
アカウント登録とログインが完了したら、早速アプリ開発の土台となる「プロジェクト」を作成します。
ホーム画面の左上にある「+ Create App」ボタンをクリックします。

テンプレート(Template)の検索窓に「Python」と入力し、表示された候補の中から「Python」を選択します。

Titleには、好きなプロジェクト名を入力します。今回は「VisionAI」と入力しましょう。

無料プランの場合、PrivacyはPublic(公開)のままにしておきます。
最後に「Create App」ボタンをクリックします。

しばらく待つと、自動的にPythonでアプリを開発するための画面が表示されます。
STEP2:アプリの見た目を作成する
開発環境の準備ができたので、次はいよいよアプリの「見た目」を作っていきます。
Webアプリにおいて、ユーザーが直接目にするボタンやテキストなどの画面要素は、HTMLという言語で作成します。
今回は、あらかじめ用意されたサンプルコードを利用して、画面を作成していきましょう。
サンプルコードの準備
まず、アプリの見た目を作るためのHTMLコードが書かれたサンプルコードを入手します。
以下のリンクからサンプルコードのページを開いてください。
https://replit.com/@daytra/AIImageSample
ページを開いたら、その中からtemplatesフォルダにあるindex.htmlファイルをクリックして開いてください。

HTMLファイルの作成とコードの貼り付け
次に、入手したサンプルコードを、先ほど作成したReplitのプロジェクトに反映させます。
Replitの画面に戻り、左側のファイル一覧エリアにある「New folder」アイコンをクリックして、templatesという名前のフォルダを作成します。

作成したtemplatesフォルダを選択した状態で、「New file」アイコンをクリックし、index.htmlという名前のファイルを作成します。

ここに、先ほど開いたサンプルコードの内容をすべてコピーし、貼り付けます。

これで、ユーザーが画像を選択し、「診断する」ボタンを押すための画面の骨格が完成しました。
STEP3:アプリを動かす仕組みを作る
先ほど作成したHTMLファイルは、いわばWebページの「設計図」です。
この設計図を元に、実際にWebページとして表示させるためのエンジンの役割を果たすのが、これから作成するバックエンドのプログラムです。
今回は、PythonでWebアプリを開発するための人気のフレームワークである「Flask(フラスク)」を使います。
Flaskを使うことで、少ないコードで簡単にWebサーバーを動かすことができます。
main.pyの編集
Replitのプロジェクトを最初に作成したときからあるmain.pyファイルに、Flaskを動かすためのコードを書いていきましょう。
main.pyを開き、以下のコードをすべてコピーして貼り付けてください。
from flask import Flask, request, render_template
app = Flask(__name__)
@app.route(‘/’, methods=[‘GET’])
def index():
result = “”
image_url = “”
return render_template(‘index.html’, result=result, image_url=image_url)
if __name__ == ‘__main__’:
app.run(host=’0.0.0.0′, port=3000)
貼り付けたコードの意味は次のとおりです。
| コード | 解説 |
|---|---|
from flask import ... |
Flaskという道具箱から、Webアプリを作るのに必要なFlask本体やrender_templateといった部品を取り出している |
app = Flask(__name__) |
Flaskを使ったアプリケーション本体を作成するお決まりの書き方 |
@app.route('/', methods=['GET']) |
Webサイトのトップページ(/で表される)にアクセスがあったときに、すぐ下にある def index() という関数を実行しなさい、という命令 |
return render_template('index.html', ...) |
templates フォルダの中にある index.html ファイルを探し出し、Webページとして表示させるための命令。 これにより、STEP2で作った画面が表示される。 |
if __name__ == '__main__': |
「この main.py ファイルが直接実行された場合に、Webサーバーを起動してください」というスイッチの役割を果たす決まり文句 |
動作を確認する
コードが正しく書けているか確認してみましょう。画面上部にある緑色の「▶ Run」ボタンをクリックしてください。

コードに問題がなければ、画面の右側にプレビューウィンドウが開き、先ほど作成した「料理カロリー診断」のページが表示されるはずです。

STEP4:AIと連携する準備をする
Webページの表示ができるようになったので、いよいよこのアプリの主役であるAI、Googleの「Gemini」と連携する準備を進めていきます。
外部のAIサービスを利用するには、通常「APIキー」という特別な鍵が必要になります。
これは、誰がAIを使っているのかを識別するためのパスワードのようなものです。
ここでは、Geminiを使うためのAPIキーを取得し、安全にアプリに設定する方法を解説します。
Gemini APIキーの取得方法
まず、「Google AI Studio」にアクセスし、Googleアカウントでログインしてください。
画面左側のメニューから「APIキーを取得」をクリックします。
次に「新しいAPIキーを作成」ボタンをクリックします。

すると、自動的にAPIキーが生成されます。この文字列が、AIを動かすための大切な鍵になります。
後で使うので、「コピー」ボタンをクリックしてAPIキーをコピーしておきましょう。


絶対に他人に教えたり、インターネット上で公開したりしないでください。
万が一漏洩すると、不正に利用され、高額な料金が請求される可能性があります。
APIキーを安全に保管する
取得したAPIキーですが、プログラムのコードの中に直接書き込むのは危険です。
そこで、Replitに備わっているSecrets機能を使って、APIキーを安全な場所に保管します。
Replitの画面に戻り、左側のメニューから鍵のアイコン(Secrets)をクリックします。

「New secret」ボタンをクリックし、キー(Key)とバリュー(Value)を入力する欄が表示されたら、以下のように設定してください。
- Key:GEMINI_API_KEY
- Value:先ほどコピーしたAPIキーを貼り付けます。

入力が終わったら、「Add secret」ボタンをクリックして保存します。
これで、APIキーを安全な場所に保管することができました。
PythonコードからAPIキーを読み込む設定
最後に、Secretsに保管したAPIキーをPythonコードから読み込めるように設定します。
main.pyファイルを開き、import os の下に、Gemini APIを初期化するためのコードを追加します。
GEMINI_API_KEY = os.environ.get[‘GEMINI_API_KEY’]
genai.configure(api_key=GEMINI_API_KEY’)

STEP5:AIによる画像認識機能を実装する
いよいよ、AIによる画像認識機能を実装していきます。ここでの作業は大きく分けて3つです。
- AIや画像を扱うためのライブラリ(便利な道具)をPythonに読み込む
- 画像と指示文をAIに送り、分析結果を受け取るための「関数」を作る
- ユーザーがアップロードしたファイルをこの関数に渡し、結果を画面に表示させる
必要なライブラリのインポート
まず、main.pyファイルを開き、AIや画像を扱うための便利な機能をプログラムに読み込むためのコードを追記します。
ファイルの先頭部分に、以下のコードを追加・編集してください。
from flask import Flask, request, render_template
import os
import uuid # ファイル名を一意にするために追加する
from PIL import Image # 画像を扱うために追加する
import google.generativeai as genAI # Geminiを使うために追加する
AIに質問を投げる関数を作成する
次に、AIに分析をお願いするための専用の関数 ask_gemini を作ります。
この関数は、画像の場所(パス)を教えると、AIからの分析結果を返してくれる便利な命令です。
main.pyの中に、以下のコードを貼り付けてください。
# SecretsからAPIキーを取得して設定
GEMINI_API_KEY = os.environ.get[‘GEMINI_API_KEY’]
genai.configure(api_key=GEMINI_API_KEY’)
# Geminiに質問を投げる関数
def ask_gemini(image_path):
# 使用するAIモデルを指定
model = genai.GenerativeModel(“gemini-2.0-flash-”)
# AIへの指示文(プロンプト)
prompt = “この料理1食分のカロリー、タンパク質、脂質を教えてください。ただし、料理名と数値と単位だけを簡潔に答えてください。”
# 画像をプログラムで開く
img = Image.open(image_path)
# AIに画像と指示文を送って、回答を生成してもらう
response = model.generate_content([prompt, img])
stream=False
# AIからの回答のうち、人間が読めるテキスト部分だけを返す
return response.text

ファイルアップロード処理とAI関数を連携させる
最後に、ユーザーが「診断する」ボタンを押したときの処理を書いていきます。
具体的には、アップロードされた画像をサーバーに保存し、その画像のパスを先ほど作った ask_gemini 関数に渡して、返ってきた結果を画面に表示させます。
# アップロードされた画像を保存するフォルダを設定
UPLOAD_FOLDER = ‘static/uploads’
app.config[‘UPLOAD_FOLDER’] = UPLOAD_FOLDER
# トップページへのアクセスがあったときの処理
@app.route(‘/’, methods=[‘GET’, ‘POST’])
def index():
result = “”
image_url = “”
# AIに画像を分析させる
result = ask_gemini(filepath)
image_url = f”/static/uploads/{filename}”
# index.htmlを結果とともに表示
return render_template(‘index.html’, result=result, image_url=image_url)
この変更により、「診断する」ボタンが押されると、アップロードされた画像がstatic/uploadsフォルダに保存され、その画像がAIによって分析され、結果(result)と画像の場所(image_url)がHTMLに渡されるようになりました。
STEP6:アプリの最終動作を確認する
最後は、アプリが正しく動作するかを確認していきましょう。
実行前に必要なライブラリをインストール
Replit画面の左側メニューから、「Shell」タブをクリックします。

Shellが開いたら、カーソルが点滅しているところに、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
pip install pillow
これでインストールが完了しました。

アプリを動かしてみよう
それでは、いよいよアプリを動かして、AIの画像認識を体験してみましょう。
画面上部にある緑色の「▶ Run」ボタンをクリックして、アプリを起動します。
右側のプレビュー画面に「料理カロリー診断」ページが表示されたら、「ファイルを選択」ボタンをクリックして、好きな料理の画像を選びます。

画像が選択されたことを確認したら、「診断する」ボタンをクリックします。

このように、アップロードした画像の下に、AIが分析した料理名や栄養情報が表示されれば大成功です!
まとめ:PythonとGeminiを使うとAI画像認識アプリを開発できる
今回は、PythonとGoogleのAI「Gemini」を使って、本格的なAI画像認識アプリを開発しました。
「AIアプリ開発」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、一つ一つのステップを積み重ねていけば、初心者でも十分に形にすることが可能です。
今回学んだ知識は、プロンプトを変えて画像から別の情報を引き出したり、全く違う機能を持つWebアプリを開発したりと、さまざまな場面で応用が可能です。
ぜひ、他のWebアプリ開発にも挑戦してみてください。
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小林さん(@mightysosuke32)
Webエンジニア歴5年のフリーランスエンジニア。デイトラWebアプリ開発コースでメンターを務めている。